『女は男を立てるべき論』に思うこと
こんにちは。STOP!ABUSE:管理人の秋好玲那です。
私が住んでいる北九州市は、『女は男を立てるべき論』が未だ根強い地域です。
もちろん、他県でもそういう価値観の人はいますが、県民性と言いますか、市民性と言いますか。
逆に、支援の現場では、異様に男性を敵視して「男になんか負けるか!」と、声高に叫ぶ女性をたくさん見てきました。
そんな狭間で生きてきた私が思う『女は男を立てるべき論』について、お話ししたいと思います。
論争自体がナンセンスなのでは?
若かりしころ、
「『女は男を立てるべき』という思想は性差別だ!」
と、いつも憤慨している女性支援者がいました。それはそれはもう、その辺の書類が舞い飛ぶほどの鼻息で。
あんまりにも口調が激しいので、「何かあったんですか?」と尋ねたところ、
「アンタは男をたぶらかして男にチヤホヤされて鼻の下伸ばした男から金をだまし取ってきた女だから男の味方なんでしょ黙ってなさいよこの水商売女!!」
と、何かの早口言葉かと思う勢いでキレられました。私の疑問が、彼女の何かに触れたようです。こわい。
っていうか、あなたの発言も差別なのでは・・・という私の声は、彼女の怒りにかき消されてしまいました。
「男の味方」って・・・笑
私自身は、『男女』という前提の論争であることが、すでにナンセンスだと思っていました。
体は男性だけど性自認が女性という友人もいたし、現在の私のパートナーも、体は男性で性自認は無性です。
さまざまな性自認が共存している中、『男女』というくくりの時点で「論争そのものがダサイ」と思っていたんですよね。
性別どうでもよくない?
たしかに、私は元ホステスで、お客様のほとんどは男性でした。
でも、一緒に働いている人のほとんどは女性だし、奥様やお嬢様、女性秘書や女性部下をお連れになるお客様も大勢います。
ときには、奥様とお嬢様だけでご来店くださることもありますし、奥様からご自宅へお招きいただくこともありました。
ホステスは『お客様を立てる』のであって、『男性だから』という理由で立てているわけではありません。
また、一緒に働いている他の女性、スタッフたちを立てることもあります。お客様やスタッフたちが、私を立ててくれることもたくさんありました。
つまり、相手を尊重したり、敬ったり、気遣ったりすることに、性別なんか関係ないと思うんですよね。
事実、ホステス時代のお客様方は、性別問わず、自分の家族や部下たちを尊重していたし、敬意を持って接していたし、気遣いもすばらしかった。
「性別や年齢、立場に関係なく、人には敬意を払わないといけないよ」と私に教えてくださったのは、お客様です。
水商売は偏見の強い職業ですが、そういった方々とご縁をいただけたことは、私にとって財産だと思っています。
とはいえ、残念ながら私はまだまだ未熟なので、足元にも及ばないのですが。
傷を負った者同士
もちろん、長い歴史の中で女性が不当な扱いを受けてきたことも知っているし、いまもなお性差別を受けている人たちがいるのも現実です。
それは由々しき問題で、あってはならないことですが、
「『女は男を立てるべき』という思想は性差別だ!」
「女は男を立てるべきだ!」
どちらの意見にしろ、声高に叫んでいる人たちを見ていると「性に対する執着心が強いな」と感じるのですよね。
これって、両者とも性差別を経験したり、意思と反した性役割を押し付けられたりした結果であって、ともに傷ついてきた人たちなのではないかな、と。
特に、私以上の世代は、
- 女性はこうあるべき
- 男性はこうあるべき
という価値観や教育に縛られて生きてきた方々が多いので、根深いと思います。
「そういう時代だった」と言ってしまえばそれまでですが、その傷が連鎖するのは、とても悲しいことですね。
でも、叫ばずにいられない気持ちも、わかります。自分を傷つけた人をだれかに投影して、攻撃したくなる気持ちも。
傷の深さや痛みの分だけ、心の叫びは大きくなりますから。
それでも、世の中が変わりつつあることも実感します。多様な性自認があって、それが認知されてきた時代だからこそ、1人でも多くの人に、
「性別や年齢、立場に関係なく、人には敬意を払わないといけないよ」
この言葉が届けばいいな、私も伝えていこう、と思い、綴ってみました。あなたにも、届きますように。