虐待を受けた子の育て直し

こんにちは。STOP!ABUSE:管理人の秋好玲那です。
私には、2人の子どもがいます。実際に私が産んだ子ではなく、実親のもとで劣悪な虐待環境で育った姉妹を、我が子として迎えました。
どちらも成人していますが、虐待の傷は色濃く残っています。私自身、虐待を受けて育ったので、子どもたちの言っていること、やっていることは、
「私も昔、同じようなことをやっていたなあ」
「私も若いころに同じ気持ちを抱えていたなあ」
と共感することが多いです。そんな彼女たちを見ていて、養母となった私がいま一番「この子たちに必要だな」と感じていることを、つづってみました。
甘えること
私もそうですが、虐待を受けて育った子は、甘えることができません。正確には「甘えることを知らない」のです。
親子間で培ったコミュニケーションは、人間関係構築の土台になります。
周囲に優しい大人たちがいたとしても、たとえ「甘えていいんだよ」と言われても、
- そもそも「甘える」ということがどういうことなのか
- 何をしたら「甘えること」になるのか
など、「甘えること」が何もわからないのです。
良くも悪くも、すべて自分の中で処理してきているので、無意識的に自己完結してしまいます。心の中では、
- 助けてほしい
- 甘えたい
- 子どもでいたい
と思いながらも、どうしていいかわからない。それが、虐待児です。そのため、一旦甘えるとなると、度を越してしまいます。育て直しの期間は、
- 人に甘えられるようになる
- どこまで甘えていいのかを知る
- 甘えすぎるとどうなるかを知る
という経験が、とても重要です。
頼ること
甘えることと同様に、虐待児の多くは、人に頼ることができません。
もちろん、中には「全部他人がやってくれるべきだ」という考えの人もいるでしょうが、少なくとも私が出会ってきた虐待児は、人に頼れません。
甘えることと同じで、
- そもそも頼り方がわからない
- 何をどこまで頼っていいかわからない
というのが実情です。虐待児の多くは、
- 子どもなのに、大人でいなければならなかった
- 子どもなのに、自分で何でもやらなければならなかった
という子が多いので、わからないのも必然と言えます。こちらも、
- 人に頼れるようになる
- どこまで頼っていいかを知る
- 頼りすぎるとどうなるかを知る
という経験が重要です。自立心を育てるためにも、欠かせないことだと思います。
愛情をもらうこと
何よりも重要なのは、愛情をもらうことでしょう。虐待児の多くは、愛情を知りません。
まったく愛情を感じられない環境で育ったり、歪んだ愛情を受けて育ったりしているからです。そのため、どれだけ愛情を注いでも、
- 怖くて受け取れない
- 受け取り方がわからない
- 愛情だと認識できない
ということが起こります。でも、愛情をもらえなければ、甘えることも、人に頼ることも経験できません。何より、
- 安心して日々暮らすこと
- 安心して人と接すること
- 安心して自分を受け入れること
ができないままになってしまうので、いつまでも虐待の傷が血を流し続け、本人にとっても周りにとっても、とても苦しい人生になってしまいます。
「私は大丈夫」と思えるためにも、愛情は切り離せないものです。
養母として思うこと
・・・と、ここまで書き連ねてきましたが、じゃあ「あなたはしっかりできているのか」と問われると、正直自信はありません。
自分では甘えさせているつもりでも、甘やかしすぎたなあ・・・と反省することもあります。
頼れる存在でありたいと思っても、まだまだ信頼関係が築けていないんだなあ・・・と思うこともあります。
愛情を注いでいるつもりでも、何も伝わらないもどかしさに涙することもしばしば。でも、
- 血のつながりがなくても、家族になれること
- 実親からはもらえなかった愛情をくれる人が、社会にいること
- その存在になりたい、と心から思っていること
これだけは、自信を持って言えます。同時に、私の周りにいた大人たちも、きっとこんな気持ちで私を見守ってくれていたんだろうな・・・とも思うのです。
夜な夜な、私の幸せを願って頭を悩ませ、実親以上に心を痛めてくれていた赤の他人の大人たちがいたからこそ、私は人として成長できました。
今度は、私がその役目。母としては至らないばかりですが、彼女(彼)らと一緒に成長していきたいと思います。